Essays & Commentary

TOP Essays & Commentary 地方の自立について

記事を
シェアする

記事を
シェアする

Twitter facebook instagram
2025 06.01
地方の自立について

高知65万人割れが示す日本の未来

2025年4月、高知県の人口が65万人を切ったというニュースが駆け巡りました。

地方の自立といっても、人がいないとどうしようもありません。人口の問題は大きな課題なのです。2022(令和4)年の高知県の人口は67万人です。統計を取り始めた1920(大正9)年は、曽祖父大石大が衆議院に初当選した年です。この年の人口が67万人でした。現代と違うのは、日本全体の人口が今の半分である5500 万人だったことです。つまり、人口という数字だけ見ても、全国に対する高知県の存在感は今の倍あったことになります。

もう一つ違うのは、1920年の67万人は県土に満遍なくいたことです。今は県都一極集中です。大正、昭和、そして戦後の高度成長の時代、高知県の人口は増え続けました。1955(昭和30)年には90万人近くにまで達しています。減少傾向が顕著となったのは1985(昭和60)年ごろです。1990(平成2)年には全国に15年先駆けて人口の自然減が始まりました。日本の未来の姿を先取りしていたわけです。以来、高知県では激しい減少傾向が続いています。ピーク時と比べると70年間で25万人も減っています。

減っているのは県都ではありません。郡部です。県土に張り巡らされた道の端、毛細血管の先に人がいなくなっています。都市集中と人口減少は日本の裏表。それによって文化の多様性も失われています。将来の成長も懸念されます。

都市と地方のバランスを取るためには地方の人口、それも毛細血管が走るような地方の人口を増やすことが欠かせません。

copyright © 2010.2025 大石宗.All Right Reserved.