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2025 07.19
都市集中から地方分散へ。徳島と高知から日本を興す

昨夜はすべての日程を終えたあと、今回のテーマである「選挙区58市町村と真正面から向き合う」ことを形にすべく、原点である県議時代の後援会事務所で、各地の皆様に向けた最後のお願いの動画を撮影しました。身体は正直きつく、声も枯れてしまいましたが、それでも気持ちだけはまっすぐに込めました。(メッセージ動画はこちらからご覧いただけます:あなたとふるさと 大石宗

そして迎えた2025年7月19日、選挙戦最終日のスタートに選んだのは、高知市中央卸売市場でした。早朝から市場を歩きながら、多くの方の声を直接伺い、握手を交わし、この選挙戦がどれほど地域に支えられてきたかを改めて実感しました。

いま、草の根の力が確かに広がっているのを感じます。「ふるさとの将来をあんたに賭ける」と、声をかけ続けてくださる徳島・高知の皆さんの存在が、私を力強く支えてくれています。全国的な争点を超えて、地域に根差した地道な力が、確かに私の背中を押してくれている。そんな実感があります。

私は、今回の立候補にあたり、自分自身の志を再度見直し、一冊の本を書きました。改めて、「ふるさと」「地方」「日本」が私の軸なんだな、とつくづく実感しました。戦いの最終日、その本の最終章を、転記して、最後のお願いとしたいと思います。どうか皆様、ふるさとを守ろう、日本を守ろうとするその思いを、私大石宗に託してください。私は、命懸けで働きます。どうか、どうかお力をお貸しください。

 

『ふるさと』という希望

 2025(令和7)年2月26日、初めて徳島県美馬市木屋平に行きました。 木屋平は20年前の市町村合併までは木屋平村、南北朝の動乱により阿波に来て山深いこの地に身を潜めた忌部一族ゆかりの地としても知られています。地元におられる忌部氏直系の方々は天皇陛下が最も重要な式典で着用される「あらたえ」の技法を今も守り続けています。 平均標高450mの山あいの地域が織りなす美しい風景を見ながら、私はなぜか懐かしい思いにかられていました。

 高知県南国市在住で、お世話になっている西憲一さんからたびたびこの木屋平のことについて聞いていたからです。「最後の鉄砲鍛冶」といわれる西憲一さんはこの木屋平に生まれました。名工といわれた高知県物部村(現香美市物部)大栃の鉄砲鍛冶、山内兼盛さんに15歳で弟子入りした西さんは、努力を重ねて独立します。やがて「日本一の腕前」と称えられる職人になりました。

 見ず知らずの土地で15歳から必死に生きる西さんを支えたのは、幼い頃から駆け回った木屋平の山と川、ふるさとの思い出でした。温厚な西さんがとつとつとふるさとを語る姿に、私はいつしか行ったことのない木屋平の風景が瞼の裏に思い浮かぶようになっていました。

 初めて行った木屋平は、西さんの話の通り本当に美しいところでした。木屋平にたたずみながら、私は菅義偉元首相のことを思い出しました。対談させていただいたとき、菅さんはこう言いました。「人生一定の時を経ると、自分を育ててくれたふるさとに恩返しがしたい。自分を育ててくれたふるさと。両親の住んでいるふるさと」と。「ふるさと」という単語に万感の思いを込める菅さんに私は感動を覚えました。木屋平を見渡しながら、私は改めて「ふるさと」の持つ力の大きさを感じました。

 ふるさとは単なる居住地ではありません。自らの源流であり、未来への生きる力を与えてくれる力の源泉であり、つらいことがあっても助けてくれるところでもあるのです。

 私にとって、特別な歌があります。「思宗紀」のラストでも取り上げた『故郷』です。

  ふるさと 誰にとっても忘れ難き ふるさと

 この思いを歌詞にした、1914(大正3)年発表の文部省唱歌です。

『故郷』(ふるさと)

    作曲 岡野貞一 作詞 髙野辰之

一. 兎追いし かの山 小鮒 釣りし かの川

   夢は今も めぐりて 忘れがたき 故郷

二. 如何に 在ます 父母 恙なしや 友がき

   雨に風に つけても 思い出ずる 故郷

三. 志を はたして いつの日にか 帰らん

   山は青き 故郷 水は清き 故郷

 明治維新以降、近代化の過程で都市集中が進みました。その姿が表れた歌詞が三番です。

  志を果たして、いつの日にか帰らん

 つまり、志を果たせる場所は都市であり、ふるさとは志を果たすフィールドではない、という考え方が表れているのです。  しかし今、「ふるさと」という希望がこの国の未来を拓く鍵となりました。

 変転する国際情勢によって、新たな時代の技術革新によって、何より人の気持ちの変化によって、ふるさとは大いなる可能性を広げ始めています。 心の拠りどころである「ふるさと」の姿と合わせて、これからの日本に必要不可欠な存在となっています。

 都市集中から、地方分散へ。

 これは「ふるさと」にもう一度命を吹き込もうとする挑戦です。

  同じ思いを持つたくさんの皆さんと、その挑戦を続けていきたいと願っています。

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